【OXYMORON】

悠々として急げ ※このブログはプロモーションを含みます

ライオンのおやつ

「ライオンのおやつ」という本をご存知だろうか。

最近TVドラマにもなり、

ご覧になった方もいらっしゃるのでは。

小川糸さんの本には、

個人的に何度も救われているのだけれど、

この本は自分の死と向き合う話なので、

読んでも辛い部分はあった。

 

死に向かって生きていることを

私たちはつい忘れてしまう。

 

「人間生まれた時から死ぬ事は決まっている。

みんな時限爆弾を持って産まれてくるんだ。

だから間違っても自分で死ぬな」と

言ってくれた人が、今死の淵にいて

私を呼んでいる。

 

ガンだと知っていたから、

最近も何度か電話をしていたけど、

全く電話に出なくなって留守電に

「元気にしてますか?」と残していた。

 

今日になって、仕事中に何度か電話が入って、

しかも長いことバイブレーションが続いていた。

只事ではないと思い、仕事を抜けて折り返した。

 

その人は今までに聞いたことのない、

しゃがれた弱々しい声で

「俺、そろそろやばいみたいなんだ」といった。

「私、行ったほうがいいのね?」というと

「そうだな。なるべく早く」といった。

「息子さんには言ってあるの?」と聞くと

「話していない」と。

「必ず行くから、もうちょっと頑張って」

と言った。

その後、自分がいる場所のことは言わないで、

特定の地名を言って切れてしまった。

 

仕事を早退して、Googleマップ

その辺の病院を調べて電話してみた。

どうもその辺りには入院できる病院はないようだ。

介護施設か?と思ったけれど、

その辺りにはたくさんの施設がある。

 

共通の知り合いの弁護士さんに電話してみた。

そっちにも「頼みたい事がある」と連絡していて

今いるところが特定介護施設である事がわかった。

 

このご時世なので、

いきなり行っても面会は無理らしく

予約がいるよ、と言われたので

どうしましょう、一緒に行きますか?というと

とりあえず早めに

様子を見に行ったほうがいいよと言われ

介護施設に連絡して次の日の予約を取った。

少し緩和されたとはいえ、

接種証明が必要だそうだ。

 

新しい変異株も見つかったから、

またいつ規制がかかるかわからない。

やはり早めに行ったほうがいいと思った。

 

同時に、特老にいるということは、

かなり姿が変わっていて

会話もままならないという、

会う覚悟をしなくてはいけないと思った。

 

死の淵にいる人の空気を

今の私が受け入れられるのか。

彼は私に何かを託したいのか。

大変不安であるけれど、

明日行かないほうが後悔しそうだ。

 

彼の息子さんにSNS接触を試みたが、

即ブロックされてしまった(爆)

弁護士を呼ぶほどだから、

何かかなりの揉め事があるのだろう。

その辺は専門家にお任せしようと思った。

 

ライオンの家に行くくらいの覚悟を

私はしなきゃいけないらしい。